大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)672 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由一について。

現行の選挙制度が所論指摘の如く欠陥を有することは、これを認めるに吝ではな

いが、それが故に選挙の結果が憲法の理想に反するものと断じ難いばかりでなく、

選挙の結果が憲法の理想に反するからといつて、現行公職選挙法が所論にいわゆる

憲法の基本路線を逸脱しているものと逆説適に論断することを得ないことも、また

論を俟たないところである。所論はるる論述するが、公職選挙法の如何なる法条が

違憲なりや否やは的確にこれを示さず、ただ漫然と前示の如き理由を以て公職選挙

法という法体系を全体的に違憲であると主張するものである。しかし、かくの如き

違憲の主張は本来許されないものであることは当裁判所判例(昭和三五年二月一〇

日大法廷判決、当裁判所民事判例集一四巻二号一三七頁以下)の趣旨として示すと

ころであるから所論は採用に値しない。

同二、三について。

選挙が無効となるのは当該選挙が選挙の規定に反することだけでは足りず、それ

が選挙の結果に異動を及ぼすおそれのある場合たるを要することは、公職選拳法二

〇五条一項の明定するところである。なお、当裁判所の判例によれば、選挙の規定

の明文に反しなくとも選挙の自由公正が著しく害された場合も選挙は無効となるも

のと解されている。さすれば、候補者が公営立会演説会に出席することが義務制で

あるや否やの点は別論として、所論候補者が所論公営立会演説会に出席しなかつた

ことが直接に本件選挙の結果に異動を及ぼす関係にあつたものとも考えられず、ま

た、これがため本件選挙の自由公正が著しく害されたものとも考えられない本件に

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おいて(右二点については原審において上告人から特に主張がなされた事跡は認め

られない)、本件選挙が所論選挙の規定に反したからといつて、その一事でこれを

無効と断ずることのできない筋合にあるものと言わなければならない。従つて、こ

の点に関する所論は上告人独自の所見というの外なく、採るを得ない。その余の所

論は本件選挙が無効たることを前提とし、この無効を確認しなかつたことを理由と

して原審判決に違憲のかどあるが如く非難するものであるから、所論は結局その前

提を欠くに帰し、採るを得ないものとする。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとお

り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 高 木 常 七

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